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Channel: syuの日記・気まま旅
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全焼した Sの家

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「Sの家」のこと
暗い内から母は、朝早く割烹着姿で一畳ほどの広さのコンクリートを張った土間の一端に作られた台所の流し台の前で、
全員の食事の支度を続けている。
子供たちは、次々「お母さんお早う」声をかけ、すのこの土間に下り、引き戸の側の井戸ポンプ汲み上げ、
流しの金たらいの中に水を汲み、その中に湯たんぽの湯を流し込み混ぜる。
子供たち全員洗顔を済ませ後、茶の間で洋服に着替え、兄は、台所の七輪コンロの炭火を茶の間の長火鉢に移す。
廊下のガラス戸を開け雨戸を仕舞う吐く息は真っ白い。

こんなこともあった、雨戸を開けるとしまい忘れた鳥小屋から蛇の青大将が半分かごの中に首を
入れ出られなくなってぶる下がっていた。
一羽の小鳥を飲み混んで、喉元につっかえ出られなくなって死んで、他の小鳥は、おびえきっていた。
この周辺は、羽田に近く、多摩川を河口から10km内陸に遡ったあたりの大森区調布千鳥町である。家の前の通りをに並行し池上線が走っている。
蒲田を始発に蓮沼・池上・千鳥町・久が原と約1km感覚で駅が作られている。
道路より1m土盛りされた約100坪敷地で、周囲も板塀に囲まれ静かな所で、
塀際には3本の桜の木が道路の上に太い枝を張っている。

家は、瓦屋根のありふれた和風平屋であったが庭が広いので家族でいろいろなことができた。
近くは、古代貝塚・ j医大の運動広場グランドが広がっている。
また、庭にはブドウ棚で夏になると日陰を作っていた。
毎朝、兄は、仏壇の前に水・少量の一番飯を供えて、父が新聞をたたむのが「頂きまーす」の合図に被く全員揃て箸をとった。・・・・・。
もうその家へ、帰ることは、無かった。

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